恩讐を超えて

昨日、私が原告代理人として訴訟提起した、とある訴訟が

訴訟上の和解によって終了いたしました。

 

この訴訟は、配偶者の不貞を理由とする損害賠償請求訴訟でした。

 

昨日の証人尋問、当事者尋問を経たあとに行われた裁判所の和解勧告において、

裁判所の相場額を超える金額での和解金額が示され、

原告側の勝訴的和解という結果で終了しました。

 

この訴訟にかける原告(私の依頼者)の思いは非常に強く、

依頼者の意向としても、結果云々より、

「とにかく裁判官に私の話を聞いて貰いたい。

 私が言いたいことを伝えて貰いたい。」という気持ちが非常に強かったです。

 

それ故に、私の考えと依頼者の意向とが、ときには衝突することもありましたが、

その都度、依頼人と協議を重ね、

依頼者と意思統一を図り、

この訴訟に臨んできました。

 

昨日の訴訟終了後、依頼者から

「結果もさることながら、

 私が言いたいことを裁判官に話せて本当に良かったです。

 高橋先生で良かったです。感謝いたします。」

との言葉をいただきました。

 

そもそも、私がこの訴訟を担当するきっかけは、依頼者からのスカウトでした。

すなわち、私がとある訴訟の尋問を行っていたときに、

私が行っている尋問を、傍聴席でずっと見ていた依頼者が、

尋問が休憩に入った頃を見計らって、

突然私に、「すいません。」と声をかけて来たのがきっかけでした。

 

依頼者は、開口一番、

「私は裁判を起こしたいので、あなたに私の裁判をやって貰いたい。」と言いました。

(後日聞きましたが、依頼者は法廷傍聴を繰り返し、弁護士を探していたようです。)

 

このような状況は初めてだったので正直戸惑いつつも、

まだ尋問が終了していなかったということもあって、

依頼者には、とりあえず私の名刺を渡し、

「まだ裁判が終わっていませんので、詳しいお話を伺うことができません。

 後日、名刺に書かれている電話番号に連絡してください。」と言って、

その場をしのいだことを、はっきりと覚えています。

 

その後、依頼者から私の事務所に電話があり、数回の法律相談を重ね、

私が依頼者の損害賠償請求事件を受任するに至りました。

 

損害賠償請求事件終了をもって、私の仕事は終了となりますが、

依頼人と初めて出会った経緯、その他本ブログに書けない諸事情を含め、

この事件は、その後もずっと私の記憶に残っていく事件となるでしょう。

 

弁護士 高橋 裕

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